ホークス開幕6試合で見えたホームランテラスの効果

 ホークスの本拠地・ヤフオクドームに今シーズンから登場したホームランテラス。左中間、右中間まで距離が最大5メートル縮み、フェンスの高さも4.2メートルになり、東京ドームとほぼ同じ仕様となった。

 

そのヤフオクドームで開幕2カード6試合を戦ったホークスは、早くもホームランテラスの恩恵を受けている。

 

6試合でホークスの打者が放った本塁打は計6本。長谷川勇也、柳田悠岐、李大浩、内川聖一、松田宣浩と、ホークスが誇る主軸打者が次々と今季1号を記録し、2日には松田が2号のサヨナラ弾。このうち、松田の2本を除く4本はいずれも“テラス弾”だった。

中でも、テラス効果を一番実感したのが、3月31日のバファローズ戦で先制ソロを放った柳田だろう。柳田が西勇輝から放った打球は、高々と左中間に舞い上がった。昨年までなら大きめのセンターフライという打球は、ホームランテラス内の防御ネットで力なく弾んだ。

 

柳田は「ミスった感じというか、こすった感じ。アウトかなと思った」と振り返りながらも「1の0(1打数0安打)が1の1、1本塁打になるのだからありがたいっす」と笑った。「早めに1号が出て気持ち的には楽になった」という柳田は、次の試合で猛打賞を記録。本塁打1本という記録以外にもテラス効果がプラスに働くことを実証してみせた。

 

 柳田と同日に従来のフェンスを直撃してホームランテラス内に入る1号を放った李大浩は、「(従来の)フェンス直撃とわかったら、去年は一生懸命走ったが、今年は走らなくていいから助かるよ(笑)。力いっぱいスイングしなくてもテラスに届くと思うと、楽な気持ちで打席に入ることができる」と、こちらもテラス効果を満足気に語った。一方、ホークス投手陣が6試合で浴びた本塁打は、バファローズ・中島裕之に打たれた2本だけ。いずれも従来のスタンドに届く一発で、テラス被弾は1本もなかった。

 

 藤井康雄打撃コーチは、ホームランテラスを次のように語る。

 

 「1試合だけで考えれば相手チームも条件は同じだが、うちはここでシーズンの半分を戦うわけだから、有利なことは確か。ただ、うちの主軸打者は打撃練習からテラスを意識することはない。十分にスタンドまで飛ばす力のある打者が揃っているから、あくまでもおまけ程度に考えてくれたらいい」

 

実際に打撃練習では、主軸たちが次々とスタンドめがけて打球を飛ばし続けている。ただ、柳田や李大浩のように精神的にメリットを感じることができるのであれば、今季のホークスにとって、本塁打の数だけではない“ホームランテラス効果”は、より一層大きなものになるだろう。

文:藤浦 一都