D若松がプロ初勝利!!チェンジアップの原点は?

 ドラゴンズ・若松駿太が、プロ3年目にして初勝利を挙げた。今季3度目の先発となった6月2日のライオンズ戦で6回を3安打・8奪三振の無失点。すべてのイニングで三振を奪ったが、快投による勝利ではなく粘って掴んだものだった。

 

 まずは2回、無死からの2者連続四球と安打で満塁とされるも、渡辺直をセカンドフライに打ち取って凌ぐ。さらに5回も1死からの2者連続四球と死球でふたたび満塁のピンチを招くも、強打者メヒアを高めのストレートで空振りの三振に仕留めて無得点に。すると打線は6回。この試合から一軍に復帰した森野の2塁打をきっかけに満塁の好機をつくり、藤井が放った犠牲フライが決勝点となった。試合後の谷繁監督兼選手は「6回を130球、6つの四球を与えながらよく0点に抑えたなと見ていた。ランナーを出してからも粘り強く投げていた」と評価。「ここまでいい投球をしながら勝てなかったんで、これをきっかけに大胆にいくところは大胆にいってレベルアップしてほしい」とさらなる飛躍に期待を寄せていた。

 

 初勝利を手にした若松は自身の投球を「四球が多かったけど、ピンチの時でもしっかり腕を振って強気でいけました」と振り返り充実した表情を見せていた。「ストレートがあっての変化球と言われて昨年のオフからずっとストレートにこだわってやってきた。その成果が少しは出せたかなと思う」と要因を挙げたのだが、随所で光ったのは“チェンジアップ”だった。このチェンジアップを習得するきっかけとなったのが、実はゲームソフトの「パワフルプロ野球」だというのだ。「こういうボールが投げれたらタイミングも外せるしいいなと思って。イメージはオリックスの金子千尋さんのようなストレートと同じ腕の振りができれば打者を惑わせると思う」と球界を代表する投手を目標に掲げていた。それでも現状ではまだまだ納得できるレベルではないようで「2回以降はワンバウンドになるチェンジアップは見逃されていたので、ストレートをもっと使っていかないといけない。四球を出さないことも含めて今後の課題です」と挙げていた。

 

 エース吉見が登録抹消となったことで手薄となった竜の先発陣だが、たっぷり伸びしろがある弱冠20歳の頭角は明るい材料。昨季ブレイクをはたした同級生の濱田達郎のような活躍を期待したい。

 

文:高橋健二