37歳の“タフマン”バルデスが竜のローテを支える

 ドラゴンズの先発ローテーションが円滑に回っているのは、すべてこの男のおかげかもしれない。37歳という高齢でありながら森繁和ヘッドコーチの目に留まった新外国人のバルデスが、チームが開幕から16試合を戦ったうちの4試合で先発登板。じつに4試合に1回という鬼のようなハイペースで仕事をこなしているのだ。

 

 開幕前にバルデス本人が「オレは中4日でも問題ないよ」と言ってはいたものの、本当に首脳陣がシーズン序盤からこのような起用をするのは実に予想外だった。そんな鬼ローテをものともせずバルデスは抜群の安定感を残している。4月14日のタイガース戦でも8回2失点と好投し、28イニングを5失点(自責点5)の防御率1.61。勝ち負けのいずれもついていないが先発投手として十分の成績を残しているといえるだろう。

 

 そんな“鬼ローテ”を務めあげるバルデスの本当の功績は、実は本人の成績に顕れていないところにある。それは他の先発投手の登板間隔だ。開幕投手の山井や大野はきっちり中6日以上を空け、八木が5回を投げきれなかった次の登板に中5日が1度あっただけ。右肘手術からの完全復活を目指す吉見にいたっては登板翌日に登録を抹消してきっちり中10日で回している。つまりはバルデスがローテの谷間をひとりで埋めて他の投手に負担を掛けず、エースの復活をも後押ししているのだ。今季4試合目となる4月14日に中5日で登板したのも、谷間となる週末の日曜日(19日)に中4日で先発をさせるためだろう。

 

 今後、バルデスが体に異常をきたすことなくシーズンを乗り切ると仮定して、今の4試合に1回のペースで回れば37試合に先発する計算になるのだが…。それはもう“鬼”の域を超えてしまうが、見てみたい気もする。

 

文:高橋 健二