谷繁ドラゴンズが、6月24日のスワローズ戦(ナゴヤドーム)で今季21試合目となる逆転負けを喫した。
敗戦の責を負ったのは、セットアッパーの又吉克樹だ。出番は2点リードで迎えた8回裏。7回4安打1失点の好投を披露した先発・若松駿太の後を受けてのマウンドだったが、1死から山田哲人にソロ本塁打を浴びると、連打でピンチを広げられたところで畠山和洋に同点打。さらに森岡良介に5連打目となる勝ち越しタイムリーを打たれたところで降板となった。その後のピンチは高橋聡が切り抜けたが、1点ビハインドの9回に送りだしたクローザー・福谷浩司も撃沈。2本のタイムリーで3点を奪われ、9回裏の攻撃に繋ごうとした勝利への望みも泡となって消えた。
この試合のポイントを挙げるとすれば8回表、又吉の交代機ではなかったのかと考える。畠山に同点打を打たれたところまではセットアッパーという役割を任せている以上納得せざるをえない。しかし、その後はテニング、森岡と左打者が続いていたにもかかわらず続投させ、森岡の逆転打を許した。この結果から交代機が遅れたという印象は拭えないことについて、試合後の谷繁監督兼選手は次のように説明した。
「今季がスタートしたときに又吉と福谷で8、9回を任せると始めた。8回は又吉が1人で抑えて(ベンチに)帰ってくる形を出していかないと繋がっていかない。ギリギリのところまで引っ張ったんだけど…」
谷繁監督兼選手のこの言葉がすべてだ。又吉と福谷で形成する勝利の方程式で戦い抜く。シーズンの折り返しを迎えようとしながら機能していないのだが、変更という選択肢は選ばない。その意思の表われとして起用法を見てもその必死さが伝わる。勝ちパターンに限らず登板を重ね、又吉はチームトップの34試合。福谷も3番目の30試合を数えている。リリーフを成功させることで少しでも昨季の状態に近づけようという狙いだろう。いわば又吉と福谷での“一蓮托生”状態。そうせざるを得ない背景として代役が挙げられないのが最大の理由ではないだろうか。球界史上最高のクローザー・岩瀬はまったくメドが立てられない状況にあり、登録を抹消した浅尾も2軍での登板がないとあって故障が疑われる。即戦力として期待が懸かったルーキーも目立った結果を残せていないのだ。
史上空前の混戦となっているセ・リーグだがドラゴンズの借金は6にまで膨れ上がった。勝利の方程式を再構築出来ない現状…。又吉と福谷が昨季のような安定感を取り戻さなければ、ペナント争いから離脱していく可能性は高くなる。
文:高橋健二