今年のドラゴンズはホームで強い!開幕カードのタイガース戦で3連敗を喫するも、本拠地ナゴヤドームに戻ってからは負けなしの5連勝。4月4日のカープ戦は、メジャー帰りの黒田博樹を相手に打線が7安打3得点と見事に打ち崩してみせた。
攻略の場面は5回裏。ここまで1安打に抑えられていたが、エルナンデスと松井雅の安打などで2死一、二塁とすると、大島が左中間を破る2点タイムリー二塁打で先制。さらに、続く亀沢もセンター前にポトリと落とすタイムリーで一挙3点を奪った。
難敵を退治した打線もさることながら、この試合の主役として忘れてはならないのが先発・八木智哉。トライアウトを経て入団した苦労人がメジャーの一線級投手に堂々と投げ勝ってみせた。初回、1死から菊池に2塁打を浴びて、いきなりピンチを迎えるもクリーンアップの丸とグスマンを連続三振に。すると2回以降も三振の山を築き、終わってみれば7回無失点。自身プロ入り初となる10個の三振を奪って932日ぶりの白星を手にした。八木は昨年のオフに戦力外通告を受け、地獄を経験した上で掴んだ勝利を「素直に嬉しいです。一回死んで、またこういう舞台で野球ができることに感謝して次も全力で頑張りたい」と喜びをあらわした。
試合後の谷繁監督兼選手も「前回よりも球がいい角度で、いい高さに来ていた。秋季キャンプから必死に練習に取り組む姿は思っていた以上に野球に向き合っていたので、頑張ってほしいと思っていた」と胸の内に秘めていたエールを明かしていた。また、吉見に次ぐ先発投手に白星がついたことについて「チームに良い流れになる」と手応えを口にし、「ひとつの油断でどうなるか分からなくなるので、明日に向かってしっかり準備をして攻めていきたい」と2カード連続の3タテに意欲を見せていた。
文:高橋 健二