「プロに入ってのベストプレーだと思います」
ホークスの今宮健太が、6月28日のイーグルス戦(コボスタ宮城)の初回の守備をそう振り返った。1回表に2点を先制したホークスの最初の守り。イーグルスの先頭打者・聖澤諒の強い打球が三遊間に転がった。誰もがレフト前ヒットと思った瞬間、今宮は左腕を目一杯に伸ばし、グラブの先でボールをつかみ、ノーステップで一塁へストライク送球。足のある聖澤をアウトにしてみせた。
「横っ飛びで捕っていたら間に合わない。その一瞬の判断、捕球、ボールの握り変え、送球。すべてが完璧でした」
その日のマウンドには、今季初登板となる帆足がいた。2点の援護をもらった直後とはいえ、先頭打者を出すか出さないかは大きな違いだ。6回2失点で勝ち投手となった帆足は「初回の今宮のプレーが大きかった」と、試合後に心からの感謝を述べた。
「ショートは、守備で試合の流れを変えることができるポジションだと思っています。試合の流れを変えることでチームの勝利に貢献する。常にそう考えながら守備についています」
前日の28日にも同じ聖澤のライナーをドンピシャのタイミングでダイビング好捕。聖澤にしてみれば、2試合続けてヒットを損したことになる。このような今宮の好プレーは、一瞬の打球判断によるところが大きい。
「打者のインパクトの瞬間を見て、一歩目をどう踏み出すかを決めます。バットの芯付近に当たるのかどうかで、どの方向に踏み出せばいいのかを判断します。守っている間は、そこだけに集中していますね」
今宮は、2年連続2度目のファン投票でオールスターへの出場も果たす。打撃面では「まだまだ課題がいっぱい」と語るが、パ・リーグを代表する守備の名手としてプロ野球ファンを湧かせるプレーをぜひ見せてほしいものだ。
文:藤浦 一都