虎ルーキー・江越の甲子園デビュー

 春季 キャンプ、オープン戦で結果を残して開幕1軍を勝ち取ったタイガースのドラフト3位ルーキー・江越大賀。開幕戦で出番は無かったが、「いつでも行ける準備はしてました」と臨戦態勢を整えていた。

 

 そして迎えた4月7日のベイスターズ戦。5点を追う5回の攻撃で、先発・能見の代打で登場すると、一、二塁間を破るプロ初安打を放つ。一方、守備機会ではセンター前ヒットの打球を後逸して走者を三塁に進めてしまう(記録は単打と失策)。バウンドが合わなかったとしても体で止めればシングルヒットで済んだ打球に対してきちんと正面に入らず、足は止まり、グローブを上からかぶせようとするプロらしからぬプレーだった。

 

 試合後、クラブハウスへと続く通路でプロ初安打について聞かれた江越は「自分の中ではいずれ出ると思っていたので気にしていません。それより後ろに逸らしたエラーがまだまだだなと思います」と自ら切り出した。このプレーについて和田監督も「難しい当たりではあったけど、捕れないにしても止めないといけない。ジャッジの難しい当たりではあったけどこれは次に活かしてくれないと」と反省を促した。

 

 それでも周囲の江越への期待は大きい。エラー直後には福留が「エラーしたことは仕方ないんだから、次のプレーに集中しろ」と声をかけた。「大卒にしては悪くないよ。足もあるし」というのはオープン戦序盤に聞いた山脇外野守備走塁コーチの印象。代打で出場した後、昨季ゴールデングラブ賞を受賞した大和をベンチに下げて江越をセンターの守備に就かせた意図について、和田監督は「シンプルにもう1打席立たせたかった。そういう内容のバッティングをしていた。打つ方の内容は悪くないし、守備は守備で反省して次につなげてくれたらいい」と明かす。

 

 守備と走塁に自信を持ち、将来的にはトリプルスリーを目標に掲げる若虎が攻守両面で次につながる一歩を踏み出した。

 

文:小中 翔太