未来のエース候補、有原航平が歴史に新たなページを刻んだ

 昨秋のドラフトで4球団が競合したファイターズのルーキー・有原航平が、5月15日のオリックス戦(札幌ドーム)でプロ初登板初先発に挑み、最速151キロの直球を武器に6回4安打、2失点4奪三振の好投でプロ初勝利を挙げた。

 

 「歴史の証人になって下さい」

 

 試合前、栗山監督は自らにも気合を入れながら報道陣に語りかけた。その歴史的登板は“何か持っている”と感じさせる試合展開になった。

 

 有原は初回、「自分の思っている所にボールがいかなかった」と1死、1,3塁の場面でカラバイヨに高めのスライダーをライト前へ運ばれいきなり失点を許す立ち上がり。このまま大崩れする心配もあったが、黄金ルーキーは直ぐに冷静さを取り戻す。「1点を取られたけど、先輩たちに声をかけられて気持ちの切り替えが出来た」とチームメートの支えを借りて本来の投球を披露する。続くT-岡田、ブランコを力でねじ伏せピンチを切り抜けると、その後はツーシ―ムとチェンジアップをうまく投げ分け打者を手玉に取っていった。だが6回にまたしてもカラバイヨに一発を浴びて再び失点を許す展開。6回を投げ終えて2点ビハインド、さらに自身の球数が100球と交代時期に差し掛かっていただけに、このまま敗戦投手になるかもしれない空気が球場に流れていた。しかし直後の攻撃でハ―ミッダのタイムリーとレア―ドの逆転2ランが飛び出し状況は一変。その後リリーフ陣の好投もあって試合はそのまま3対2で勝利。有原は降板直前に白星が突然舞い降りる形になった。

 

 結果的に、この勝利で男同士の約束も守った。前日のヒーローインタビューでの出来事。開幕から6連勝を飾った大谷から「有原さんが明日投げるんですけど、僕が勝ったら絶対勝ってくれると約束してたので勝ってくれると思います」とプレッシャーをかけられていた。そしてこの日、見事に約束を守る事が出来た有原は「約束を果たせて良かった。(大谷には)『何とか勝てたよ』って言いたい」と笑顔で語った。

 

 初勝利を飾った右腕以上の笑顔を見せたのは栗山監督だった。ニコニコと報道陣に対して「“何か持っているよね”有原の投球が刺激になって競争意識もでてくる。」とルーキーの活躍がチームのさらなる起爆剤になると笑顔で語りかけた。泥沼にはまりかけた4連敗からの2連勝。チーム状態もまだまだ決して良くないが、有原航平がチームの競争意識を刺激する大きな役割になりそうだ。

 

文:鈴木将倫