ファイターズの4番・中田が、後半戦に入ってから不振に陥っている。後半戦17試合の成績は打率.164、1本塁打、2打点。得点圏打率.059と状態は最悪だ。柏原打撃コーチは、「上体が前に突っ込んでいるし、下半身でしっかりタメが出来ていない」と中田の現状について分析する。
不調のトンネルはいつまで続くのかと心配されたが、8月9日のイーグル戦(札幌ドーム)では、同点で迎えた8回1死2塁の場面で、相手投手・クルーズに対して「バットは折られたけど、積極的に行った結果」と内角の直球に詰まりながらも、レフト線へ運ぶ決勝タイムリー。自身7月26日以来の複数安打も記録し、復調の兆しを見せた。
振り返ると、この一打は中田が師と仰いでいるOB稲葉氏の助言が大きい。中田はチームに貢献ができていない自分の不甲斐なさに、悔しさを募らせていた。そこで、球場に訪れていた稲葉に現状を相談し、ロングティーを敢行。「ロングティーは自分の間合いを確認する為に練習した。『体もだけど、バットにしなりがない。もっとムチのように使え』と稲葉さんに言われた。だからロングティーではそこを意識して練習した」と兄貴分のアドバイスに耳を傾け、早速実践に移した。
自身の決勝点について、「どん詰まりだったけど、昨日まではあそこは空振りかファールだと思う。そこを考えると自分のポイントが戻りつつある。これで良くなるかわからないけど、振りきる事が出来ていなかったので、良いきっかけにして調子を上げていきたいね」と話した中田。栗山監督は「4番に置かれている意味。応援されている意味を感じて欲しい。苦しいけど背負っていかないといけない」と発破をかける。
今シーズンも不動の4番として出場を続けている男の不調は、チームの成績に大きく影響する。現に、後半戦開始直後の貯金は「15」あったが、中田のスランプ中に一時は「10」まで貯金が減少した。決して中田一人の責任ではないが、指揮官の言う通り、チームの中心選手として敗戦の責任を常に背負っていかないといけない。
「まだまだ優勝を諦めていない」
この日の勝利で、失いかけていた自信を取り戻した主砲の発言は心強い。首位ホークスの背中を追うためには、4番・中田翔の爆発が必要不可欠だ。
文・鈴木将倫