復調するか?タイガースの「3番・西岡」

 「開幕はこれで行こうというのは何日か前に決めてある」

 

 開幕戦のプレイボールが4時間後に迫った京セラドームの一塁ベンチで、大勢の報道陣に囲まれた和田監督はオーダーについて聞かれると落ち着き払った声でそう答えた。

 

  昨季、年間通して固定したクリーンアップを崩してでもこだわった1番・鳥谷から始まる2015年版の猛虎打線。確実な打撃と高い出塁率を誇る鳥谷が先頭打者で、状況に応じた打撃と俊足が持ち味の上本が2番、昨季打点王のゴメスが不動の4番で、その後にはリーグ屈指の安打製造機・マートンが控える。強力な布陣を組んだ上位打線で唯一穴となっていたのが3番・西岡だった。

 

 オープン戦では鳥谷、上本の1、2番コンビが機能し何度もチャンスメイクするが、打率.152の西岡がブレーキとなりゴメスは8試合で3打点、マートンは13試合で2打点。2打席か3打席で途中交代するにしてもあまりにも寂しい数字だ。

 

  ただ、ここぞの場面で仕事をするのが西岡だ。ドラゴンズとの開幕戦では打線が沈黙する中、鳥谷は2安打1四球と1人塁上を賑わせ、上本は3点を追う8回2死1塁から安打を放ちチャンスを広げる。初めて得点圏に走者を置いて打席を迎えた西岡は、追い込まれながらもしぶとくセカンド後方に落ちるタイムリーを放つ。「きれいなヒットではなかったですけど、チームのためにという気持ちで打てた。僕がつなぐとああいう展開になる。(3番は)責任のある場所」今季初安打で初打点を挙げると続くゴメスのツーベースで一塁から激走。長駆生還を果たし試合を振り出しに戻した。2死走者無しからの4連打で3得点、走れる上位打線だからこそ実現した怒濤の攻撃。「1、2、3番が出て何とかゴメスの前にためる。こういう点の取り方したいと感じてた。諦めずにつないでくれた」。延長10回、マートンのサヨナラタイムリーで開幕戦を白星で飾った和田監督は試合後、理想とする形に手応えを口にした。

 

 球団創設80周年の節目の年に30年ぶりの日本一なるか。そのカギは3番・西岡が握っている。

 

文:小中 翔太