大谷が球団記録に並ぶ開幕から無傷の6連勝!また一歩エースの系譜を辿る

 右ふくらはぎをつった影響で18日ぶりの登板になった日本ハムの大谷翔平が5月14日、ライオンズ打線を相手に8回1/3を5安打11奪三振の力投を見せ、チームの連敗を4で止めた。

 

 前夜、打線は4度の満塁機会を得ながらタイムリー0と決め手に欠き、頼みの投手陣に目を向けても4試合連続で二桁安打を浴び、計27失点と投壊が止まらない状況。思い返せば2013年には5月に9連敗を喫してその年最下位に終わった嫌な過去がある。だが、当時とは大きな違いがある。どんな悪いチーム状況でも流れを変えてくれる“大黒柱”が今年は存在する。

 

 この日の大谷はフォークの切れ味が抜群だった。

 

 初回、課題の立ち上がりを11球で三者凡退に抑え、続く2回は圧巻の投球を見せる。中村、メヒア、森を自慢の直球とフォークで三者三振に切って取ると、3回も三者凡退に抑え全くもって危なげない投球を披露。その後両軍1点も許さない投手戦になって迎えた8回には、大谷が感情を露わにする。先頭・森の安打と大崎の犠打で、1死2塁の場面を作ってしまうが、炭谷には全球フォークで空振り三振、続く金子をレフトフライに倒し、ピンチを脱すると右腕は雄叫びを上げ勝利への意欲を見せた。この大谷の気迫が湿りがちの打線にも間違いなく良い影響を与えた。直後の攻撃でハ―ミッダが好投を続ける相手ルブランから2点タイムリーヒットを放ち先制点をもぎ取る事に成功した。

 

 このまま今季2度目の完封も視野に入り始めた大谷だったが、9回1死1塁から浅村にタイムリー3塁打を浴びて降板。結局その後は守護神増井が0に抑えチームの連敗を4で止めた。結果的には寸前のところで完封を逃したが8回1/3、1失点と先発の役割を十分に果たしたと言える。

 

 ただ、やはりこの内容に納得がいかなかったのか試合後「(自身)6連勝は素直に嬉しいですが…一番悔しいマウンドになりました。体力面ではなく技術面の問題ですね…最後はもっと違う球があったら良かった」と右腕は複雑な表情で振り返った。

 

 それでも悪いチーム状況の中での1勝は大きな価値がある。報道陣も思わず『エース大谷』と発言すると栗山監督は「チームを優勝させたらエース。俺は一番、最後まで認めない。」と厳しく注文をつけるが、これもいつもの栗山監督流の表現。続けて「これで良いと言ったら(大谷が)前に進めなくなる」と現状で納得せず、さらなる成長を促した。やはり指揮官に認めて貰うにはまずは一つずつ勝利を積み重ねるしかない。大谷の真のエースへの道はまだ始まったばかりかもしれない。

 文:鈴木将倫