世界記録挑戦のD山本昌が22球でまさかの降板…

 ドラゴンズの山本昌が8月9日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)で今季初登板。ジェイミー・モイヤーが持つ49歳108日の最年長勝利記録の更新がかかったマウンドに上がった。

 

 世界新記録を見届けようと満員に膨れあがったナゴヤドーム。独特の緊張感に包まれていた立ち上がりは先頭の比屋根を空振り三振で幸先よくスタートを切ったところまでは良かった。しかし、続く川端の四球と山田の安打で1、2塁。さらに暴投で先の塁に進まれたところで、畠山の犠牲フライで先制を許した。後続を抑えたのだが、2回にアクシデントが発生。先頭の大引に3球目を投げ終わったところで顔を歪めてベンチ裏へ。そのまま交代が告げられ22球で降板。場内からは落胆の声が漏れていた。

 

 アクシデントの内容は左手の人差し指を右の太腿に当ててしまったことでの“突き指”。山本昌は降板後に「こんな形でマウンドを降りてしまい申し訳ない」と悔しさを滲ませていた。谷繁監督兼選手も「2回から中継ぎを注ぎ込む展開では、苦しい戦いになりますよね。(前日の会見で、山本昌の技術の投球を見たいと言っていたが、見るところなく終わった感じか?)そうですね、1イニングだけですから」と、振り返ることすら難しい様子だった。

 

 気になるところは山本昌の今後の登板だろう。試合の途中にはベンチの最前列に座って声を出していたが、痛めた個所を気にする素振りが見られた。利き手の人差し指となれば投球に影響が出るのは必至。3月に痛めた右ひざの回復にも3カ月を要していただけに、今回も長引くようであれば世界記録達成、そして夢の50歳勝利も見果てぬ夢に終わってしまう。竜党ならずとも野球ファンが注目しているだけに、早期回復を祈るばかりだ。

 

文・高橋健二