ホークスの元気印・松田宣浩が目標の100打点に向けて爆進中!!

 工藤公康監督のもと、開幕から順調な戦いぶりを見せているホークス。コーチ経験すらない新監督が、細川享、長谷川勇也、本多雄一といった主力選手を故障で欠き、さらに新加入の松坂大輔が大きく出遅れた中で、勝率5割をキープしているのは大健闘ともいえるだろう。故障者が相次ぐチームの中で、開幕から元気ハツラツなのが、選手会長でもある松田宣浩だ。

 

 試合前の練習が始まると、まず3塁でノックを受ける。ゲージで打撃練習をする若手の打撃音に混じって、「よっしゃ、来い!」「オーケー!」という松田の大きな声が響き渡ることで、チーム全体に気合がみなぎる。

 

 「ホークスはどこよりも元気があるチーム。ボクが声を出すことで若手も声を出す。それは練習でも試合でも同じ」

 

 そんな松田が今季の目標に掲げているのが100打点到達だ。

 

「6番、7番の打者が100打点をあげられるチームは強いでしょ。一番の目標はやっぱり日本一連覇ですから、得点圏にランナーがいる場面では、打ってやるぞという気持ちになる。打点は、チームを勝利に導ける一番大きな要素だと思うので、これからもこだわっていきたいですね」

 

 打点へのこだわりは、松田のバッティングスタイルに微妙な変化をもたらした。それが見て取れたのが5月8日のイーグルス戦だ。1点リードで迎えた8回裏、1死1、3塁の場面。いつもは追い込まれるまでバットを長めに持つ松田が、最初から短めに持って打席に立った。ファール、ボール、ファールの後の4球目、センターへの大きめの犠牲フライを放って貴重な追加点をもぎ取ったのだ。

 

 「仙台で3塁にランナーを置いて2回失敗していますからね。3塁走者を(ストライク)3球以内に確実にホームに還したいという思いが強いから、最初から短めに持った。バットを長めに持って1ストライク目、2ストライク目をムダにするのはもったいないな、と。最初から短めに持てば、チャンスは3回あるわけですから」

 

 長谷川が離脱して以降、内川聖一、李大浩に続く6番を任されている。中軸で右打者が3人続くが、松田にとっては、それが大きなメリットとなっている。

 

 「内川さんにはこう攻めてきた、デホさんにはこのコースに来たというのをじっくり見ています。同じ右打者にどういう攻め方をしているのか、ベンチやネクスト(バッターサークル)で相手投手の球筋を観察できるのは大きいですね」

 

 その効果もあったのか、李大浩との2者連続本塁打が今季すでに2回。「ボクはホームランバッターではない」といいながらも、本塁打数を着実に伸ばしている。鷹の元気印は、これからも大きな声と勝負強いバッティングでチームをけん引していくだろう。

文:藤浦一都