中日のエース吉見一起が5月22日の巨人戦に登板し7回2失点。2回に味方打線が1点を先制するも、直後の3回に寺内に単打と盗塁で得点圏に走者を進められ長野に同点タイムリーを浴びた。中盤の4、5回を三者凡退で切り抜けてリズムを取り戻したかに見えたが、6回に2死から亀井の2塁打を浴びると続く坂本に勝ち越しタイムリー。その後、エルナンデスの同点ソロで一時は追いつくも、最後はリリーフ陣が力尽きてチームは敗れた。
今季、吉見が登板した試合はすべて勝利をおさめていたが、その不敗神話も途切れることに。なにより気懸かりなのは“らしくない”投球が目をついた吉見の状態だ。同点打を許した3回も寺内に安打を浴びた後の投手のポレダに四球を与えてピンチを広げて失点。6回も2死を取りながら亀井、坂本に長短打を浴びてあっさり勝ち越し点を献上した。吉見がエースと言われる所以は走者を出した後に見せる安定感のある投球なのだが、この試合はそれが見られなかった。吉見も降板後の談話で「2点とも防げた失点でした」と言葉少なだった。
不調の原因があるとすれば、やはり予告先発となっていた5月17日の阪神戦で試合当日に登板を回避することとなった体調不良が関係しているのではないだろうか。手術をした右肘との因果関係には触れず、あくまで“体調不良”とだけ説明していたのだが、ここまでの登板と一変した投球内容から右肘への疑念を強く印象付けるものだった。今後の吉見の登板機会について問われた谷繁監督兼選手も「終わったばかりなので、今はまだ分からないですね」と不安を口にしていた。完全復活へ順調な歩みを進めていたエースがここにきて黄信号を点滅。チームへの影響は少なくないだろう。
文:高橋健二