またも打たれた又吉、谷繁監督は「勝利の方程式」の再構築に踏み切れるか

 5月15日、ドラゴンズが1対2でタイガースに逆転負けを喫した。先発・小熊が7回無失点の好投を見せるも、2番手として8回のマウンドに上がった又吉が2本のタイムリーを浴びて逃げ切りに失敗。ここまで13勝5敗と無類の強さを見せていたナゴヤドームで建て直しを図りたいところだったがチームは3連敗。兎にも角にも又吉の投球で勝利を逃したことへのダメージが大きく、それはこの試合に限ったことではなく今季の大きな悩みの種となっている。福谷と形成する「勝利の方程式」が機能しないのだ。

 

 悪夢の始まりは5月2日のベイスターズ戦だった。奇しくもこの試合も先発・小熊が6回1失点と好投を見せていたのだが、クローザーの福谷が9回2死から4連打を浴びて逆転負け。小熊の先発初勝利をフイにしてしまった。すると翌日の試合では又吉が同点で8回のマウンドに上がるも2点を失い敗戦投手に。今季初となる本拠地でのカード負け越しとなってしまった。そして極めつけは5月6日の阪神戦。バルデスの来日初勝利が懸かっていたこの試合でも福谷と又吉が敗戦の責を負った。9回、2死からバルデスがゴメスに安打を浴びたところで福谷に交代するも連続四球で満塁に。ここで福谷を諦め又吉を投入するも押し出し四球で同点とし、最後は新井良のサヨナラ打で敗れた。

 

 こうした流れを踏んでの逆転負けに谷繁監督兼選手もこの怒りをどこにぶつければいいのか分からないもどかしさが滲み出ていた。「1対0で逃げ切らないといけない試合。(又吉投入は)形にこだわるとかではなく、勝ちにいったうえでの継投。前日の試合でのボールうんぬんという判断ではなく、常にしっかり抑えてくれると期待して出している。初球を先頭打者に打たれて自分のリズムではなくなってしまった。又吉の今後?それは失敗したらみなさんに言われるし、成功したら言われない。それはこっちで考えます」と必死に苛立ちを隠していた。

 

 絶対的守護神である岩瀬が不在の今季のドラゴンズのリリーフ事情においてセットアッパー又吉、クローザー福谷の配置は誰もが納得するところであった。しかし、シーズンが開幕して1カ月以上が経過して出た結果を見れば再検討の必要性を感じずにはいられない。谷繁監督は形にこだわっていないと言ってはいるが、状態を見極めず2人を多用しているのは明らか。今こそ監督としての手腕を見たいところだ。

 文:高橋健二