【CPBL情報】気持ちを切り替え再スタート 郭永維、初の個人タイトル獲得

 

 

 

 

 

 

 

ルーキーイヤーに郭永維はたくさんチャンスを与えられ、一軍のスタメンとなった。しかし翌年から、怪我で調子が上がらなかった。そのため、コーチの信頼も失い、二軍で長い期間を過ごしていた。2018年から、気持ちを切り替え、スプリングキャンプから積極的な態度を見せて、やっと監督の信頼を取り戻した。チャンスをつかんだ郭永維はバッティングで成績を残し、プロ8年目で、初の個人タイトル————カムバック賞を受賞した。

 

取材/張育嘉 写真/戴嗣松 翻訳/黄意婷

 

「プロに入って、もう8年経ちました。なかなかいい成績を見せることができなかったので、初めて受賞したことは、努力が報われたと思います。そして、皆さまに認められて、本当に嬉しく思います。実は、この賞を取れるなんて、まったく思ってもみませんでしたが、努力をして、その成果は神様に任せようと思っただけです…」。カムバック賞受賞の感想についてインタビューされたとき、郭永維はそう答えた。

 

 

出番のチャンスはなく 考え方もマイナスになった

 

一年目のシーズン、郭永維は93試合に出場。監督の信頼に応え、打率.287という成績を残した。しかし、翌年からは怪我のため、安定した成績を残せなかった。出場試合数は減り、2016年になると、二軍での出場試合数は一軍よりも多くなっていた。

二軍でいい調子を保っていたのに、一軍への声はは来なかったという。「毎日部屋に閉じこもっていた時に思ったんです。どうすればいいか、なぜチャンスはこないのか、そんな疑問を抱いて、過ごしていました。」

「野球の意味も、わからなかったんです。何年も野球をしてきたのに、いいプレーができず、初心も野球への思いもすべて忘れてしまって、諦めかけていました。このままだと、いつか戦力外になると思いました」。そんなマイナスな考えが野球に対する情熱を侵食していた。自分の出番はないと思っていたので、試合中はいつもぶらぶらしていたそうだ。

 

 

コーチとチームメイトの励ましで 思いっきり野球がやれる

 

コーチとチームメイトに恵まれたおかげで、郭永維はここまで来た。郭永維と同入団し、現在二軍コーチの許耀騰は、親友の一人だ。試合のあと、よく寮で話し合っている。その時、落ち込んでいる郭永維が「なぜ僕はずっと二軍にいるの?」と聞いたが、許耀騰コーチは考えすぎる問題を指摘し、思いっきり野球をすれば、いつか監督に認められると言ったそうだ。

この言葉で、郭永維は新人の年を思い出した。「その時は成績を気にぜず、プレッシャーも感じなかったので、逆にいい成果を出したのです。ここ数年は、他の選手のいいところを見て、自分にプレッシャーをかけすぎてしまいました。他の選手と比べないで、自分がやるべきことをすればいいんだと思いました」。

 

日米の選手を参考にして 打撃フォームが定着した

 

考え方や気持ちの変化だけでなく、郭永維は技術面でも変わったことがある。今までは調子が悪く打撃フォームもよく変わっていて安定しなかったが、今はは安定したフォームでバッティングができるようになった。ヤンキースのアンドリュー・マカッチェン(Andrew McCutchen)とソフトバンクの松田宣浩のフォームを取り入れたそうだ。

普段、よくインターネットで様々な打者の映像を見ているが、マカッチェンと松田宣浩に憧れているため、見習おうとしていると言っている。二人の選手は、準備中の動きはやや違うが、スイングと足上げの動きは似ている。郭永維は今、スイングの後右手を離さないため、スタートはマカッチェンに似ているが、終わりは松田に近いそうだ。松田は時々スイングの後、体が一周回るが、郭永維も松田のフォームを真似した後同じことを感じたそうだ。

また、打撃コーチの曾豪駒も助言をしてくれたそうだ。スプリングキャンプから、バッティングに関する考え方を教えている。「相手チームにとって打ちとりにくいように、どうやってバッティングをするか、教えてくれました」。昨シーズンから、郭永維はスイングの角度を少し上げて、ボールの軌跡も変わったと言っている。

特に長打率を上げようとしているわけではないが、郭永維の2018年の長打率はキャリアハイの.399だった。10本の二塁打も自己ベストを更新した。フォームの調整をした後、リラックスして打席に立つことができるようになったそうだ。

 

 

適当な考えを捨て スタメンの気持ちで試合に向き合う

 

今まで、調子が悪い場合、行き当たりばったりで過ごそうとしたと、郭永維は言っている。もう出番がないからと思っていたため、試合に集中しようとしなかった。たとえ監督にチャンスを与えられても、そのチャンスを活かしきれなかったため、それを繰り返すと、二軍へ行くことになってしまったのだ。

今の郭永維はどの試合でも真剣に試合の様子を見ている。「開幕の時は一軍にいたが、試合に出ていませんでした。でも、焦らず配球などをよく見ていたから、その後の試合に役に立ちましたね」。

 

長所を発揮し 内角球にはもう恐れない

 

CPBLでは、毎年大勢の若い選手が入団するため、競争がとても激しい。郭永維はそれについて、競争が激しいからこそ、自分の限界を超えることができる。もっといい選手になれると、抱負を語った。

もちろん、もっといい選手になるには、自分の優位性を発揮することが課題だと言っている。郭永維のバッティングは流し打ち傾向のため、内角が苦手だそうだ。そのせいで、内角球が投げられると、集中しすぎて、外角にボールがきてもも、バットを振ることさえ忘れてしまった。欠点を直すことは大事だが、自分の長所を保つのも欠かせないと言っている。

昨年の台湾シリーズでは、相手チームに内角に攻められたが、初戦に2安打第5戦ではホームランを打った。「統一ライオンズのピッチャーはアンディ・バンヘッケンに交代したときにも、内角を投げてきました。またここに投げられても打つと思っいたら、思い通りのコースにボールがきて、勢いよく飛んでいきましたね」。その試合を思い出して、当時の心境を語った。

個人タイトルを獲得したことは、郭永維にとって嬉しいことだが、試合中はやはり集中しなければならない。シーズンが終わるとき、絶対カムバック賞を獲得できると言われてきたが、シーズンの最後まで集中しようと決心したそうだ。

また、カムバック賞以外、もっと欲しい賞もある。それは、内野手である郭永維がずっと手に入れたいと思っているゴールデングローブ賞だ。しかし、守備位置はよく変わるため、各守備位置の試合数には満たない。固定された守備位置で試合に出ることを、次の目標にしているそうだ。

 

 

初国際試合 忘れられない思い出

 

2018年シーズンが終わって、郭永維は日米野球壮行試合のCPBL代表に選ばれ、福岡へ向かった。「初めての国際試合なので、忘れられない経験になると思います」。と、輝いた目で感想を述べた。

5回表、郭永維はタイムリーヒットでCPBLの1点目を取った。カムバック賞よりも嬉しいことだと言っている。

ずっと試合を楽しみにしていたため、試合中は緊張せず、ドキドキしていた。ドームで試合をしたことも夢だったので、福岡でいい経験をして、よかったと思っている。日本代表から勝利を勝ち取ったが、日本代表から様々なことを学ばせてもらったそうだ。「試合を通して日本ならではの繊細さが見られて、攻撃や選球など、いろいろ勉強させていただきました。6点のリードでしたが、最後は逆転されそうになってヒヤヒヤしました。最後まで頑張るという日本人の根性も見しましたね」。

2018年は郭永維にとって、まさに実りある一年だった。初の個人タイトルも、初の国際試合も、野球への初心を忘れないことの証だ。帰国した後、郭永維はトレーナーを雇い、自主トレを行っている。これからも、常に集中して、絶対にチャンスを逃さないつもりだ。

 

郭永維Profile

生年月日:1988.04.13(30歳)

身長/体重:175cm/75kg

守備/投打:游擊手/右投げ右打ち

経歴:Lamigoモンキーズ(2011~)

 

一軍通算成績

試合

打数

安打

打点

本塁打

盗塁

打率

出塁率

長打率

2011

93

324

93

30

0

4

0.287

0.329

0.321

2012

60

162

32

13

0

3

0.198

0.282

0.247

2013

56

142

37

11

0

3

0.261

0.294

0.282

2014

51

157

50

15

0

7

0.318

0.339

0.339

2015

73

118

33

11

1

5

0.280

0.313

0.313

2016

27

54

8

4

0

2

0.148

0.220

0.184

2017

33

84

20

5

0

3

0.238

0.312

0.274

2018

81

253

87

34

0

2

0.344

0.367

0.399