富邦ガーディアンズの王正棠は、李振昌に次いで今年の登場した新人選手である。自慢の打撃でチームの勝利に貢献し、14試合連続安打を放ち新人の記録を塗り替えた。プレッシャーを感じるときもあったが、今までの挫折が、彼を成長させた。
取材/楊啓芳 写真/戴嗣松 翻訳/黄意婷
今年の中間ドラフトで、王正棠は二巡目で富邦ガーディアンズに指名され、二週間後入団した。そして、8月22日に一軍登録。その優秀なパフォーマンスで注目を集めた。初試合から14試合連続安打の記録を残し、まさに富邦ガーディアンズ打線の希望となった。
ソフトボール代表の父のため 53番を選んで夢を叶えてあげた
入団会見で、背番号を「53」にした理由は、父もつけていた言っている。王正棠の父は野球からスタートして、中学時代はソフトボールに転向し、代表チームでもあった。そのため、王正棠は父の影響で野球をしてきた。しかし、小学校は野球部に入ったが、ひどい目に遭ったそうだ。「体罰がひどかったし、練習もきつかったし、うまくできなかったら、また父に練習させられたんです」今まで、父がコーチをしてきたそうだ。プロ選手になっても、「いつも試合を見てくれて、改善すべきところを教えてくれるんです」。と笑いながら言った。
小学校も中学校も、王正棠は二刀流だったが、高校に入ってからは野手 に力を入れた。投手の話をすると、高校時代に西苑中学との試合で、満塁のピンチで3者連続三振で抑えたことが一番の自慢話という。しかし、大学時代になると、台湾体育大学の野手の不足と腕の怪我のため、本格的に野手に転向した。
ユニバーシアードのミスで立ち上がり 早くもプロの舞台に慣れた
2013年のU-18で台湾代表となった王正棠は、当時のチームメイトの林政賢、陳重羽、陳子豪などの選手と、プロ野球で活躍している。当時、U-18は台湾で行われたため、それらの選手が注目されるようになり、王正棠はベスト指定打者に輝いた。その後も代表になったが、一番印象深いのは、2017年のユニバーシアードだ。対フランスの初戦でセンターとして出場したが、9回裏の捕球ミスで、サヨナラ負けを喫した。そのため、5割に近い打率を残したが、ネットで野球ファンの罵声を浴びた。
試合が終わった後、Facebookのダイレクトメッセージが絶えなかったそうだ。「チームメイトはみんな優しくて、だれも僕のことを責めませんでした。打撃コーチのトミー・クルーズも励ましの言葉をくれました」。当時の経験で、プレッシャーを感じても、怖くないという。
もちろん、一軍に上がったばかりの時は毎日の試合や取材などで緊張する時もあった。「最初は本当にいろいろ戸惑いました。どうやって違う投手と対決するか、相手はどんな球種が得意なのか、先輩たちに聞くしかありません。一番相手の印象に残るのは、初打席の試合でしょう。」バッターボックスに入った時は実感はなかったと言っていたが、次の打席にはすぐ落ち着いてスリーベースヒットを打った。そして、連続安打の記録も幕を開けた。
新人連続安打記録を破り 思ったよりいい成績を作った
王正棠が初めて新人連続安打記録を知ったのは、8月末だったそうだ。「ある記者に、『何かの記録に近づいてるよ』と言われて、必ずヒットにしなければならないというプレッシャーを感じるようになりました」。タイ記録となる日にも他の人に「もうすぐ10試合連続だよ」と言葉をかけられ、とても緊張したそうだ。「運がよかったおかげで、なんとか乗り越えられました」。と思い出した。この記録を作った一番大きな理由は、投手を観察することだと言っている。「僕は相手投手に詳しくないですが、相手も僕のことがわかりませんから公平ですね。コーチの分析のアドバイスがこの記録を作ってくれたんです」。
自分はバッティングが得意だが、苦手な投手もいるという。ラミゴのクローザー・陳禹勳だ。「よく惑わされて、どんなボールを投げてくるかさっぱりわかりません。国際試合では速球で対決することが多いですが、プロでは必ずしも速球で対決するわけでもありません」。しかし、思ったより早くプロの世界に立てたことに、感謝の気持ちでいっぱいだそうだ。ガーディアンズのためにも、父と自分のためにも、これからも頑張っていくつもりだ。
王正棠Profile
生年月日:1995.09.17(23歳)
身長/体重:177cm/81kg
守備/投打:内野手/右投げ左打ち
経歴:富邦ガーディアンズ(2018~)
2018シーズン打擊成績
試合 |
打数 |
安打 |
打点 |
本塁打 |
盗塁 |
打率 |
出塁率 |
長打率 |
30 |
122 |
43 |
16 |
0 |
2 |
.352 |
.412 |
.451 |