【CPBL情報】トラウマを克服した蘇俊羽。頼りになる先発ローテーションの一員に

 

 

 

 

 

 

 

プロ入り4年目の蘇俊羽は、今シーズン大きな成長を見せた。考えすぎることをやめ、コントロールも改善した。頼りになる投球でLamigoの先発ローテーションに名を連ね、これからも更に進化していく。

取材/張育嘉 写真/戴嗣松 翻訳/黄意婷

 

2018年の後期戦、前期優勝のLamigoがシーズン最多タイの6連敗に悩まされた。そんな苦境の中、チームを引っ張ってたのはエースではなく、若手の蘇俊羽だった。8月9日のガーディアンズ戦、7回1失点というクオリティ・スタートでチームの連敗を止めた。

 

 

 

1147キロを投げ、野球のセンスを見せた

 

蘇俊羽の生まれは野球と全く関係がないそうだ。野球部に入ったのは、父の友人の子供が野球部にいるからだった。小学4年生の時、その子と一緒に野球部に入ったが、トレーニングの大変さと監督の厳しさで慣れていなかったため、野球をやめようと思ったこともある。

一番慣れなかったことを思い出すと、「小学校時代の邱慶秋監督はとても厳しい方です。食事が遅くて、外で立って食べさせられたこともあります。でも、尊敬している監督ですから、監督のもとで野球をするために、仁善小学校から中平小学校へ転校しました」。

小学5年生になって、蘇俊羽は野球をまじめに練習するようになり、高校は野球の名門校・平鎮高校に入りました。高1の時点で最速147キロの速球が投げられたが、コントロールが不安定だったため、学生時代は試合に出るチャンスは少なかったそうだ。しかし、「まだまだチャンスがあると思う。自分の弱さを知って、補うことができたら、きっといつか試合に出られると思って頑張ってきました」。

高校を卒業して、CPBLのドラフトに申し込んだ。その理由は、大学に入って技術がよくなければ、4年後は若さという優位性を失うそうだ。家族と相談した結果、高卒でドラフトに参加することになった。ドラフトの日を思い出すと、「家で生中継を見ていたんですが、名前を呼ばれなかったらどうしようと思いました。5巡目で呼ばれた時はすごく嬉しかったです。予想よりも早く呼ばれてびっくりしました」。

 

 

コーチからアドバイスをもらい、自分の欠点を1つずつ直す

 

しかし、競争が激しいプロ野球に入ってから、プレッシャーも感じるようになったそうだ。高校を卒業したばかりの蘇俊羽にとって、どうやって考え方を成長させるか、また、体にたまっている疲労と共存することは実に難しかった。最初は二軍で登板することが多く、一軍で登板してもなかなかいい投球ができず、「失格」と自分のことを責めたこともあるそうだ。せっかくコーチが良いチャンスを作ってくれたのに、結果を出せずとても悔しかったと言っている。

もうこれ以上後悔しないように、蘇俊羽はそれまでの失敗を努力する動機にして、自分の欠点を見つけて改正しようとした。その中で、一番工夫したのは投球フォームだそうだ。今までの投球フォームだと、ボールを投げ出した瞬間に体の重心も前に行っていたため、コントロールに悪い影響を与えていたことに気づいた。それで、今年のスプリングキャンプからフォームの修正に工夫をした。2016年、二軍でのBB/9は5.54だったが、今年になると3.66に下がり、コントロールがよくなった成果を見せた。

しかし、コントロールの他にもう一つ課題があるそうだ。プロ野球での最大の課題は自分の考え方にあると言っている。プロに入ったばかりの頃、ストレートに自信があるため、速いストレートをストライクゾーンに投げればいいと思っていた。打者との対決にまったく策略を立てなかったせいで、失敗の経験がたくさんあった。

蘇俊羽はそれについて、コーチに聞く勇気がなかった。やはり自分の能力だけでは打者と対決しづらいため、蘇俊羽は今シーズンから積極的にコーチの意見を取り入れようとしている。「打者との対決についていろいろコーチに聞いて、練習中も打者たちのことをイメージしています」。

 

 

モンキーズの先発ローテーションに入っても、まだまだ課題がある

 

蘇俊羽は2017年シーズンまで、わずか5試合の登板のみ。0勝3敗の成績だった。今年の後期戦には、助っ人のスプライルがケガで先発ローテーションを離脱したため、蘇俊羽にチャンスが巡ってきた。

7月27日のライオンズ戦、今シーズン初の先発では5回1失点で一軍での初勝利を収めた。「試合が始まったばかりの時、緊張しすぎて体も硬くなってしまいました。トップバッターの陳傑憲には四球を許して、次の打者にもボールが先行し、6球目にやっとストライクを取りました。そのストライクで体が普通に戻った気がしましたね」。と初登板の日を思い出し、反省しているようだ。

2週間後、蘇俊羽は7回1失点というクオリティ・スタートで、チームの連敗を終わらせた。試合後、洪一中監督は蘇俊羽を先発ローテーションに入れることにした。蘇俊羽は冷静に、「やるべき練習は、これからもやるから、先発ローテーションに入ったことに安心せずに、自分のやり方を貫き通すつもりです」。と、心境を語っていた。

実は、蘇俊羽が一軍の先発ローテーションに入ったのは、運だけではない。呉俊良投手コーチは、蘇俊羽のことを真面目な選手で、よく自分で練習している姿が見かけると褒めている。それに、コーチのアドバイスもよく聞く選手だと言っている。去年、呉コーチは変化球の球種を増やすためにカーブを練習したほうがいいとアドバイスしたが、蘇俊羽はそれを取り入れて真剣に練習した。マウンドに立ってもとても落ち着いているため、将来きっといい投手になると期待しているそうだ。

蘇俊羽は先発ローテーションに入る前、自分の能力に自信がなかったが、実績を重ねているうちに、だんだん自信を取り戻したそうだ。「試合が始まってすぐには、なかなかスイッチが入らないことを直したいですね」。と、まだまだ課題があると言っている。コーチの助言を大切にして、先発ローテーションを守りチームへ貢献できる選手になることが今の目標である。

 

蘇俊羽Profile

生年月日:1996.10.30(21歳)

身長/体重:178cm/65kg

守備/投打:投手/右投げ右打ち

経歴:Lamigoモンキーズ(2015~)

 

通算成績

試合

投球回数

ホールド

セーブ

三振

WHIP

防御率

2016

3

6.2

0

1

1

0

8

1.50

9.45

2017

2

8.2

0

2

0

0

10

2.42

12.46

2018

7

32.1

2

0

0

0

20

1.67

3.06