『新・勝利の方程式、鍵谷陽平』

「今年は昨年と違ってストレートの質が全然違う」

 

 厚沢投手コーチは今季大ブレークを果たそうとしている鍵谷に対して、自信満々に語った。

 

 鍵谷はここまで中継ぎで11試合に登板し1勝0敗、防御率0.93と抜群の安定感を披露し、チームではもう欠かせないほどのセットアッパーとして成長している。

 

 この調子の良さはシーズン始まる前から健在だ。プロ入り3年目になる道産子右腕の鍵谷は、オープン戦から最速150キロを計測するなど万全な仕上がりだった。満を持しての今季初登板は開幕のイーグルス戦。8回から登板した昨季の勝利の方程式、クロッタが1点差に詰め寄られてしまうと、なお、1死1,2塁の場面で鍵谷が登板。まずは先頭の松井稼を自慢の直球で追いこみ、最後はフォークでショートゴロに倒すと、圧巻だったのは次打者の後藤に対して、全球真っ向勝負で3球三振に切って取り、大器の片鱗を見せた。

 その後、クロッタの2軍落ちから、勝利の方程式の一角を担うと、4月24日のバファローズ戦では同点で迎えた9回1死3塁の場面で登板。4番カラバイヨをフォークでショートゴロに倒し、続く竹原には追い込んでから2度サインに首を振り、最後はやはり自慢の151キロの直球で三振に抑え、その後のチームのサヨナラ勝利に貢献。今季初白星を手に入れた。

 

 「真っすぐ狙いでも押し込めているのは成長したところ。自信もあるし、その自信を見せていかないといけない。昨年の経験が生きている。」と右腕は昨年との違いに手応えを口にした。

 

 鍵谷が大きな“自信”をつかんだのは、昨シーズンのCS登板になる。

 ホークスとのCSでは中継ぎとして3試合に登板し威力十分の直球を主体に2勝をあげるなど存在感を示した。そしてオフには大学の先輩にあたるジャイアンツの澤村の助言もあり遠投を多く練習し、体重移動を意識。その結果コーチも唸らせる直球を手に入れた。さらに調子が良い理由には過去2年間の“経験”が生きている。右腕は「試合に入る準備の仕方や、ホーム、ビジターでのブルペンでの対応などが出来るようになってきています。試合後のケアも3年目で出来るようになった」と体調面の管理も問題ない事がここまでの快投につながっている。

 

 5月は6連戦が4回もある、過密な日程で連投が当たり前になるかもしれないが、その最初の試練を乗り越えたときには誰もが認める“中継ぎエース”への道を歩むはずだ。

 

文:鈴木将倫