若虎鳴尾浜通信5月版

 チーム打率、チーム防御率など主要な成績が軒並みリーグワーストを記録するタイガース。和田監督就任後初の単独最下位に転落するなど苦しむ5月、実は2軍も9連敗を喫するなど苦しんでいた。現在の得失点差は−30、ホークスに6-0で勝利した14日の試合がようやく今月初の白星だった。

 

 若手の台頭が乏しいとされるが、力をつけてきている選手ももちろんいる。1軍昇格しプロ初安打を放った中谷の他にも北條はクリーンアップを任され、打率は.244ながら本塁打5本はウエスタンリーグトップ。その北條を三塁に追いやった唯一の高卒ルーキー・植田は遊撃手としてスタメンに起用される辺り首脳陣の期待の高さが伺える。エラーを犯した試合後のノックでは筒井コーチが付きっきりで指導。「プロ生活にも慣れてきました。最近、結果を気にし過ぎて。もう1歩前で捕れるので」と植田は反省も口にするが、小さく素早い動きは先輩たちと比べても頭1つ抜きん出る。プロで戦う体作りが出来れば面白い存在だ。

 

 14日のホークス戦、16日のカープ戦でマスクをかぶり完封勝利に大きく貢献したのが小豆畑。「ピッチャーの投げたいボールを気持ちよく投げてもらうのが1番」というリードに加えてソフトバンク戦では俊足の上林の盗塁を阻止。捕ってから投げるまでの速さとタッチするにはここしかないという正確なスローイングがドンピシャではまった。その小豆畑がカーブを絶賛したのが、鶴。13日のホークス戦は3週間以上登板間隔の空く久々のマウンドとなったが140km/h台後半の力強いストレートを連発し、カーブでもカウントを稼いだ。スライダーに近いカーブを投げる投手が多い中、鶴の軌道は大きく弧を描くカーブらしいカーブ。鶴自身も「いい力の入れ具合で、その分軸がしっかり出来た」と手応えを感じていた。防御率は4.82ながらこの投球を続けていれば甲子園のマウンドに上がる日は遠くない。

 

 19日のジャイアンツ戦ではサイドに近い腕の位置から力強い球を投げ込む桑原と俊足が売りの荒木が1軍昇格予定。2回目のLEGENDS DAYでアピールなるか。

 

文:小中翔太