工藤監督に初白星をもたらした4番で主将の気迫

 3月28日、開幕第2戦。ホークスが4対2 でマリーンズを破り、工藤監督が初勝利をあげた。笑顔で選手を出迎える工藤監督は、守護神・サファテからウイニングボールを手渡された。

 

 報道陣の前に現れた工藤監督は、「素直にうれしいよ。勝つ瞬間まで手の汗が止まらなかった(笑)。今日は選手たちが本当によくやってくれた」と、ほっとした表情を浮かべた。

「ウイニングボールは、もちろん飾るよ。監督としてのウイニングボールはこれで3個目。オープン戦の初勝利と(オープン戦の)ヤフオクドーム初勝利のボールもあるけど、やっぱり今日の(ボール)は特別だね」

 

 工藤監督に初白星をもたらしたのは、キャプテン・内川聖一の気迫だった。

 2点を先行された2回裏。内川は、レフト左を破る一打を放つと、懸命に二塁めがけて激走し、気迫のヘッドスライディングを見せた。その直後に、李大浩が1点差とするタイムリー。勢いに乗った打線は、続く3回裏にもチャンスを作り、内川が右方向へ見事な2点タイムリーを放って逆転に成功した。

 工藤監督は「(2回裏の)ヘッドスライディングが士気を上げてくれた。勝つんだという気持ちを表に出すことが大事だし、それがチームの勢いにつながる」と絶賛。

 内川は「昨日負けて、今日も初回と2回に点を取られて、チームとして受身になっている感じがしたので、それを払拭したかった。まあ、どっちにしてもスライディングしないといけないタイミングだったので、思い切って頭からいった」と冷静に振り返った。

 

 この日の内川は4打数3安打3打点の活躍で、今季初勝利に大きく貢献し、お立ち台にも上がった。

 

「3番のギータ(柳田悠岐)と5番のデホ(李大浩)を生かすも殺すもボク次第。(2併殺打の)昨日、それが4番だと実感した。その責任を背負って143試合戦うのかと思うと気が遠くなる思いだが、胸にキャプテンマークをつけている以上、逃げるわけにはいかない」

 

 開幕からわずか2試合の間に、内川は4番でキャプテンという重責を思い切り味わったようだ。その自覚はこんな言葉に表れている。

 

「今後、もっともっときついことはあるはず。チームの状態も自分の調子も悪い時に何ができるか。それが一番大事だと思う」

 

 工藤監督が日本一のウイニングボールを手にするまで、内川はチームをけん引し続ける。

 

 

文:藤浦 一都