ファイターズに3年ぶりに復帰した田中賢介。7月11日、札幌ドームで行われたライオンズ戦では3安打2打点の活躍を披露し、チームの8対7の勝利に大きく貢献した。
栗山監督は試合負けから勝ちへの強い意欲を見せていた。この日、相手先発・十亀に対してチームはここまで1勝3敗と苦手意識が付いている。指揮官は天敵に対して「一気に打ち崩して点を取れる気配がない。早い段階で勝負していかないといけない、負けたら終わりという気持ちでやっていくし、もし負けたら試合後の取材会見はなしね。それぐらいの気持ちでやっていくから」と報道陣に今まで以上に必死の思いを語った。
そして、その監督の強い期待に田中賢介が大きく応えた。初回、西川の四球と盗塁で作った、1死、2塁のチャンスに、田中がシャープな打撃を心掛け、センター前へ先制タイムリー。先発の有原が2回に5点を失うまさかの展開となったが、「2回に有原を代えた時点で勝ちに行くというのが選手たちに伝わりました。なので、意地でも勝ちたいと思った」と田中。この監督の攻めの姿勢が選手全員に届いた。
1点差で迎えた4回には、2死1,3塁の場面で、中島の同点タイムリーが飛び出し、続く田中が「甘い球が来たら全部打つつもりだった」と無我夢中で十亀の投じた直球を振りぬいて、ライト前へ逆転のタイムリー。結果的にこの一打が決勝点になりチームの3連勝へと導いた。
試合後、連日の超満員になった試合をベテランは「大観衆も含めて、球場の雰囲気が打たせてくれたタイムリーだと思います。あれだけファンの方が入ってくれて、声援で良い雰囲気を作ってくれていたので…思わずグッと感情が込みあがりそうになりました。ファイターズに帰ってきて良かったなと思います」と感慨深げに微笑み、また、シーズン中から痛みを抱えていた右肩も「少しずつよくなってきたので、もっともっと調子を上げていきたい」と意気込んだ。
これで、7月のチーム成績は6勝1敗とかつての勢いが戻ってきている。前半戦残り3試合。経験豊富なベテランの力でさらに勢いを加速させたいところだ。
文:鈴木 将倫