F浦野、“強敵”菅野に投げ勝ったポテンシャル

 6月10日の交流戦、ファイターズ対ジャイアンツ(札幌ドーム)。この日、ジャイアンツの先発は、11年のドラフトでファイターズから1位指名を受けながら、入団拒否した経緯のある菅野。プロ初対決とあって、ファイターズファンとしては嫌でも熱が入る試合になった。その中で、一方のファイターズの先発・浦野も、昨シーズンの交流戦で5回4失点を浴びて黒星を喫しているジャイアンツに「負けたくない気持ちがあった」と雪辱を期す構えを見せていた。

 

 強い気持ちで迎えた初回。2死から亀井に右越え2塁打と坂本に四球を出す厳しい立ち上がりになったが、自らのテンポを崩す事なく、アンダーソンをレフトフライに打ち取りピンチを脱する。4回は先頭に安打と四球などで2死満塁のピンチを作り、8番片岡を迎える。昨季の交流戦で本塁打を浴びている片岡に対しても、気負うことなくライトファウルフライに倒し窮地を切り抜けると、その後も味方の堅い守備に助けられ、6回を投げ5安打無失点の好投でチームの勝利に貢献した。

 

 今季3勝目を挙げた浦野だが、試合後は課題を口にした。「しっかり腕を振って投げられたけど、もっと長いイニング投げないといけない」と中盤以降に球威が落ち始め、交代を告げられた事に対して悔しさを滲ませた。また、今日の打たれた5安打の内4本が左打者だった事に対しても「もうちょっと考えないといけない。同じバッターに打たれてばかりで、それじゃあ駄目」と結果無失点に抑えられたが。自身の内容に満足はしていない様子を見せた。

 

 この投球内容に厚澤投手コーチは「本来はもっとスピートが出てバッターを差し込める」と本調子ではない事を話すと、続けて黒木投手コーチも「10段階の評価ではまだ2,3ぐらいの能力しかだせていない。僕の中ではそれぐらい能力を持ったピッチャー」と右腕に対して両コーチはまだまだ、大きなポテンシャルを秘めている事を語った。

 

 振りかえると、昨季は新人ながら先発ローテーション入り果たすなど7勝をマークし、新人王候補にも名を連ね、CS登板も経験。また幻に終わったが、日本シリーズに進出していたら開幕1戦目の先発を予定されていた。首脳陣の期待はこの時から高かった。ファイターズの若いローテ投手に比べると決して派手さはないかもしれないが、間違いなく、浦野は“エース”としての器を持っている。首脳陣の期待通り、この先どのような能力を見せてくれるのか楽しみだ。

 

文:鈴木将倫