タイガースの激化するセンター争い

 昨季のゴールデングラブ賞、タイガースの大和が連日のスタメン落ち。広い甲子園の外野のど真ん中、センターのポジションを巡って久々に激しいレギュラー争いが繰り広げられている。

 

 ルーキーながら開幕1軍をつかんだ江越、4月28のスワローズ戦で放ったプロ初ホームランは決勝点となるスリーラン。長打力を秘めた打撃はもちろん魅力的だが、本人は足と肩に自信を持っており入団会見で語った目標はトリプルスリー。甲子園を本拠地とする阪神で達成出来ればよりいっそう価値がある。1軍と2軍を行き来する中、昇格即スタメンとなった6月4日のロッテ戦でもあわやホームランというフェンス直撃の先制タイムリースリーベースを放ち、和田監督を「積極性もあって振り切った分あそこまで飛ばせる。振れるのが魅力の選手。小さくまとまらないでほしい」と喜ばせた。

 

 2軍で.367の高打率を残していた柴田も6日のファイターズ戦で1軍昇格即スタメンで出場すると、2打席連続で安打を放つ。凡退した3打席目も10球粘り、第4打席ではきっちり送りバントを成功と全打席非常に中身のある内容で猛アピール。ストレートに強いことから昨季8回を1安打無得点に抑えられた大谷対策として起用されると申し分ない働きをした。

 

 左手親指の亜脱臼で登録抹消された伊藤隼も負傷した試合では猛打賞とバットで存在感を放っていた。その一方でベンチを温めることが増えているのが3年連続100試合以上に出場している大和。守備での安心感は文句なしだが今季の打率は2割を切り、46試合の出場でわずか77打席という数字が苦しい現状を物語る。

 

 7日のファイターズの先発は力強いストレートが武器の左腕・吉川。スタメンに名を連ねるのは右の江越か、ストレートに強い柴田か。大和にとっては我慢の時。タイプの異なる3選手が激しいレギュラー争いを繰り広げている。

 

文:小中翔太