ファイターズが9回に、近藤のサヨナラ死球で5カードぶりに初戦をものにした。想像がつかない幕切れに終わった試合だが、サヨナラ勝利の流れを作ったのは大卒2年目の岡大海の一打からだ。

　この日のバファローズの先発は昨年プロ入り初打席で初安打を放った東明が相手。しかも自身が安打を放った直後にチームはサヨナラ勝ちを決めている。試合前には「良いイメージがある」と岡は意気込みを語っていた。

　試合に入ると、東明の前にチームは7回まで1安打と沈黙しつづけたが、1点を追う8回にレア―ドの2塁打で一打同点のチャンスが巡ってきた。岡は「前の2打席バント失敗もあったので、低めの変化球を振らない事を心がけ、何とかしたいと思った」と語った通り、3回無死1塁で回ってきた最初の打席でバントを決められず三振。続く2打席目も変化球にタイミングが合わず三球三振に倒れ、チームの勢いを削いでしまっていた。だからこそ、この3打席目では「何とかしよう」と言う執念が見えた。

　唯一甘く入ってきたフォークボールに反応し、センター前へ同点タイムリーを放つ。1塁ベース上を少し回ったところで、普段は見せないド派手なガッツポーズを見せ、球場を大きく沸かせた。その後チームは相手のミスに乗じて最後は近藤の押し出し死球でサヨナラ勝ちを決めた。

　この試合でも岡はヒーローに選ばれ実に今季3回目のインタビューに応えた。ここぞの場面で勝負強さを発揮している若武者だが、まだまだアピールは続く。現在不動のセンター陽が怪我で離脱しているが、復帰したときには再びポジションが奪われる可能性がある。陽と西川は外野手で固定されると、残り1枠をハーミッダ、谷口と争わないといけないだけに、今がまさに勝負どころ。このままの勢いでアピールを続け、外野の定位置確保へ名乗りをあげたい。

文：鈴木 将倫